プロ野球中継で目にする「ホールドポイント(HP)」は、中継ぎ投手がチームの勝利にどれだけ貢献したかを示す指標です。ホールド数に救援勝利数を加えて算出し、セ・パ両リーグの「最優秀中継ぎ投手賞」を決める基準にもなっています。先発投手の勝利数や抑え投手のセーブ数とは異なり、試合途中の重要な局面を任された投手の働きを評価するための記録です。
2026年のNPB公式記録では、通算ホールドポイントの歴代最多は北海道日本ハムファイターズの宮西尚生投手で、462ホールドポイントに達しています。一方、シーズン最多記録は中日ドラゴンズの浅尾拓也投手が2010年に記録した59ホールドポイントです。計算方法、ホールドとセーブの違い、歴代ランキング、2026年のタイトル争いまで、公式記録をもとに整理します。
【基本】ホールドポイントとは?計算方法を具体例で解説

ホールドポイントとは、プロ野球の救援投手が記録したホールドと救援勝利を合計した数値です。英語表記の「Hold Point」を略してHPと表記されることもあります。
NPBは2005年に記録制度を変更し、セ・パ両リーグの最優秀中継ぎ投手賞をホールドポイントによって選出する仕組みを導入しました。日本野球機構(NPB)の2005年2月3日付「記録に関する変更のお知らせ」にも、ホールドと救援勝利を合計する方式が明記されています。
計算式は非常にシンプルです。
ホールドポイント(HP)=ホールド数(HLD)+救援勝利数
例えば、ある投手がシーズン中に30ホールド、救援登板で4勝を記録した場合、ホールド要点は34になります。ホールドを記録していなくても、救援勝利があればホールドポイントに加算される仕組みです。
ただし、勝利投手になった救援登板について、同じ登板でホールドも重複して記録するわけではありません。ホールドは、勝利投手・敗戦投手・セーブ投手などの記録が付かない救援投手を対象とするためです。
ここで押さえておきたいのは、ホールドポイントが単なるホールド数の別名ではないという点です。救援登板から勝利投手になったケースも評価に加えることで、接戦をつなぐ中継ぎ投手の貢献を、より広く捉えられるようになっています。
【記録条件】ホールドはいつ付く?付かないケースも解説
ホールドポイントを理解するには、まずホールドが記録される条件を把握する必要があります。ホールドは、試合を最後まで投げ切る抑え投手だけでなく、リードを守りながら次の投手へつなぐ救援投手を評価する記録です。
NPBの記録制度では、基本的に次の条件が関係します。
- 先発投手ではなく、救援投手として登板している。
- 勝利投手、敗戦投手、セーブ投手などの記録が付いていない。
- 少なくとも1つのアウトを取っている。
- 登板時の状況や投球内容が、ホールドの成立条件を満たしている。
- 最終守備イニングの最後のアウトを取って試合を締めくくる投手ではない。
具体的には、リードしている場面で登板し、セーブの条件に相当する状況でリードを保ったまま降板するケースが代表例です。一般的には3点以内のリードで1イニング以上を投げる場合や、同点・逆転につながる走者を背負った危険な局面でリードを守る場合などが該当します。点差にかかわらず3イニング以上を投げてリードを保つケースも対象になります。
同点で登板した場合にも、ホールドが付くことがあります。例えば、同点のまま失点せずに降板した場合や、登板中に味方が勝ち越し、そのリードを保って降板した場合です。登板時の状況だけでなく、降板までの試合展開も記録の判定に影響します。
注意したいのは、投手が自分の登板中にリードを失えば、ホールドの条件を満たせなくなることです。走者を残して降板した場合も、その走者が後続投手によって生還し、同点や逆転につながれば、ホールドが認められないケースがあります。
一方、ホールドの条件を満たして降板した後、別の投手が打たれてチームが逆転負けしたとしても、先に記録されたホールドは原則としてそのまま残ります。ホールドはチームの最終的な勝敗だけで決まるのではなく、対象投手が登板中に果たした役割をもとに記録されるためです。
【比較】ホールドポイントとホールド・セーブの違い
ホールド、ホールドポイント、セーブは、いずれも救援投手の働きに関係する記録ですが、評価する内容が異なります。混同しやすい3つの指標に救援勝利を加え、違いを整理します。
| 記録・指標 | 意味 | 主な評価対象 | 押さえたいポイント |
|---|---|---|---|
| ホールド | 所定の条件を満たしてリードなどを保ち、降板した救援投手の記録 | 中継ぎ投手 | 条件を満たせば、同じ試合で複数の投手に記録されることがある |
| ホールドポイント | ホールド数と救援勝利数の合計 | 中継ぎを中心とする救援投手 | NPBの最優秀中継ぎ投手賞の選考基準となる |
| セーブ | 勝利した試合を締めくくり、所定の条件を満たした救援投手の記録 | 主に抑え投手 | 原則として最後に投げ切った投手が対象となる |
| 救援勝利 | 先発ではなく救援登板で勝利投手になった記録 | 勝ち越しに関わった救援投手 | ホールドポイントの計算に1勝につき1ポイント加算される |
ホールドポイントとホールドの違い
ホールドは個々の登板で成立する記録ですが、ホールド要点はシーズンを通じた累計指標です。ホールドが40回、救援勝利が2回なら、ホールド要点は42になります。
そのため、ホールド数だけで中継ぎ投手のランキングを見ると、救援勝利を多く挙げた投手の貢献を十分に反映できない場合があります。ホールド要点は、その差を補うための数字です。
ホールドとセーブの違い
最も分かりやすい違いは、試合のどの場面を任されるかです。ホールドは、主に試合途中の重要な局面を担当し、次の投手につなぐ働きを評価します。セーブは、勝利目前の試合を最後まで締めくくる働きを評価します。
例えば、8回に登板した投手がリードを守って降板し、9回の投手が勝利を確定させた場合、8回の投手には条件次第でホールド、最後の投手には条件次第でセーブが記録されます。セーブについては、公認野球規則9.19に、勝利した試合の最後を投げ切ることや、所定の投球回・リード状況などの条件が定められています。
ただし、抑え投手が必ずセーブを記録するわけではありません。大差で登板するなど条件を満たさない場合にはセーブが付かないこともあります。同様に、中継ぎ投手が好投しても、登板状況やアウト数などの条件を満たさなければホールドは記録されません。
【2026年最新】NPB公式の歴代ホールドポイントランキング
2026年度シーズン終了時点のNPB公式「歴代最高記録」によると、通算ホールドポイントの歴代1位は宮西尚生投手です。2008年から2026年までの記録を積み上げ、通算462HPに到達しました。
上位選手の通算記録は次のとおりです。数値はいずれもNPB公式サイトの通算ホールドポイント記録に基づいています。
- 1位:宮西尚生 462HP(ホールド424、救援勝利38)
- 2位:山口鉄也 324HP(ホールド273、救援勝利51)
- 3位:浅尾拓也 232HP(ホールド200、救援勝利32)
- 4位:藤川球児 218HP(ホールド163、救援勝利55)
- 5位:又吉克樹 217HP(ホールド173、救援勝利44)
- 6位:益田直也 213HP(ホールド178、救援勝利35)
- 7位:岩崎優 204HP(ホールド176、救援勝利28)
宮西尚生が通算記録で首位を走る理由
宮西投手の記録で際立つのは、通算ホールドが424に達している点です。NPB公式の通算ホールドランキングでも歴代最多に位置しており、長年にわたって中継ぎとして登板を重ねてきた実績が、ホールドポイントにも反映されています。
2位の山口鉄也投手は324HP、3位の浅尾拓也投手は232HPです。宮西投手との差は、それぞれ138ポイント、230ポイントに達します。単年の突出した成績だけでなく、複数シーズンにわたって救援陣の一角を担うことが、通算ランキングでは大きな意味を持ちます。
なお、2026年の通算記録は同年度のシーズン終了時点の数字です。シーズン途中のランキングや、2025年終了時点の記録と比較する場合は、集計基準日をそろえる必要があります。
シーズン最多ホールド要点は浅尾拓也の59HP
通算記録とは別に、1シーズンのホールドポイントにも歴代記録があります。NPB公式のシーズン記録では、浅尾拓也投手が2010年に達成した59HPが歴代最多です。内訳は47ホールドと12救援勝利でした。
続く記録は、2007年の久保田智之投手の55HP、2025年の大勢投手の54HPです。藤川球児投手の2005年と清水昇投手の2021年は、それぞれ53HPを記録しています。
このランキングから分かるのは、ホールドポイントの高さがホールド数だけでは決まらないということです。例えば、浅尾投手は47ホールドに加えて12救援勝利を記録し、59HPに到達しました。ホールド数が単独で最も多い投手と、ホールドポイントが歴代最多の投手は、必ずしも一致しません。
【最優秀中継ぎ投手賞】選考基準と2026年の受賞者
最優秀中継ぎ投手賞は、セントラル・リーグとパシフィック・リーグでそれぞれ選出されるタイトルです。NPBではホールドポイントを基準としており、ホールド数だけでなく救援勝利も評価に含めます。
2026年度のNPB公式表彰では、次の2投手が最優秀中継ぎ投手賞を受賞しました。
- セ・リーグ:田中瑛斗投手(読売ジャイアンツ)45HP
- パ・リーグ:鈴木昭汰投手(千葉ロッテマリーンズ)39HP
NPB公式の2026年度個人投手成績によると、田中投手は42ホールドと3救援勝利で45HP、鈴木投手は33ホールドと6救援勝利で39HPを記録しています。両投手とも、ホールドに加えて救援勝利を積み上げ、各リーグのタイトルを獲得しました。
この結果を読む際に注意したいのは、セ・リーグとパ・リーグのポイントを単純に比較して、どちらの投手が優れているかを決められるわけではないという点です。チームの試合展開や継投方針、登板機会などが異なるため、タイトルは各リーグ内の記録を基準に評価されます。
また、最優秀中継ぎ投手賞は防御率だけで決まるタイトルではありません。失点を抑える能力はもちろん大切ですが、登板機会を得てホールドや救援勝利を積み重ねることも、受賞に直結する評価要素です。
【プロの視点】ホールドポイントだけで中継ぎ投手の実力は分かるのか
ホールド要点は、中継ぎ投手の働きを数字で比較するうえで便利な指標です。しかし、ポイントが多い投手ほど、あらゆる面で優秀だと判断するのは早計です。HPは累積型の記録であり、登板回数やチームの勝ち試合数、リードした場面での登板機会にも影響されます。
例えば、勝ち試合の多いチームでは、中継ぎ投手がリードした状態でマウンドに上がる機会も増えやすくなります。逆に、チームがリードを奪えない試合が多ければ、好投してもホールドを記録する機会は限られます。HPには投手個人の能力だけでなく、チーム事情も反映されるのです。
そのため、中継ぎ投手をより立体的に評価するなら、次の指標も合わせて確認すると効果的です。
- 防御率:どれだけ失点を抑えているか。
- WHIP:1イニングあたりに許した走者の数から、走者を出しにくい投球かどうかを見る。
- 奪三振率:打者を三振で抑える能力を確認する。
- 投球回・登板数:どの程度の負担を担い、継続してチームに貢献しているかを見る。
- 救援勝利とホールドの内訳:勝利投手になる機会が多いのか、リードを守ってつなぐ役割が中心なのかを把握する。
また、同じホールド数でも、1点差の終盤を任された投手と、比較的大きなリードがある場面を中心に投げた投手では、登板時の難しさが異なることがあります。HPの集計だけでは、登板時の走者数やアウトカウント、対戦打者の強さといった状況までは十分に分かりません。
浅尾投手の2010年の59HPは、歴代シーズン最多という明確な記録です。一方で、選手の総合的な実力を比較するときには、記録の順位に加えて、防御率や投球回、登板状況なども見ていく必要があります。
つまり、ホールド要点は中継ぎ投手を評価するための有力な指標ですが、投球の質や登板の難易度まで単独で表す万能な数字ではありません。記録の意味を正しく理解するには、累積成績と投球内容の両面から見ることが大切です。
【ホールドポイントとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ホールド要点はどのように計算しますか? A1:ホールド数と救援勝利数を足して計算します。例えば、ホールド30、救援勝利4なら、ホールド要点は34です。先発登板での勝利は加算されません。
Q2:ホールドが付かなくてもホールド要点は増えますか? A2:はい。救援登板で勝利投手になれば、救援勝利としてホールドポイントに加算されます。ホールドと救援勝利は別の記録であり、ホールドがなくても救援勝利があれば要点は増えます。
Q3:2026年現在、ホールドポイントの通算歴代1位は誰ですか? A3:NPB公式の2026年度シーズン終了時点の記録では、宮西尚生投手が462HPで歴代1位です。内訳は424ホールドと38救援勝利です。
まとめ:ホールドポイントを知れば中継ぎ投手の貢献が見えてくる
ホールドポイントとは、ホールド数と救援勝利数を合計し、中継ぎ投手を中心とする救援投手の貢献を評価する指標です。ホールドは試合途中でリードなどを守る働きを評価し、セーブは勝利目前の試合を締めくくる働きを評価します。それぞれの役割を理解すれば、継投の意味や救援陣の貢献をより深く読み取れます。
2026年度のNPB公式記録では、通算最多は宮西尚生投手の462HP、シーズン最多は浅尾拓也投手が2010年に記録した59HPです。また、2026年の最優秀中継ぎ投手賞は、セ・リーグが田中瑛斗投手の45HP、パ・リーグが鈴木昭汰投手の39HPで受賞しました。
試合を見るときは、ホールドポイントの順位だけでなく、ホールドと救援勝利の内訳、防御率、登板数、投球回なども合わせて確認してみてください。数字の背景にある投手の役割やチーム事情まで見えてくれば、中継ぎ投手の評価はさらに面白くなります。