2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、キューバ代表はプールAを2勝2敗の3位で終え、準々決勝進出を逃した。2006年の第1回大会で準優勝し、2023年大会でもベスト4に進出した伝統国にとって、初めての1次ラウンド敗退という厳しい結果となった。
大会前には、リバン・モイネロ、ヨアン・モンカダ、アルフレド・デスパイネ、ヤリエル・ロドリゲスらが注目を集めた。一方、ルイス・ロベルトJr.をはじめとする有力選手の不参加も話題となり、代表編成の難しさが浮き彫りになった。MLB公式の大会記録や代表メンバー資料をもとに、2026年の登録選手、スタメン、全試合の結果、主力不参加の経緯、歴代成績を整理する。
【2026年最新】WBCキューバ代表のメンバー30人とチーム編成

2026年大会のキューバ代表は、ドイツ・メサ監督(Germán Mesa)のもとで編成された。大会前の代表発表では30人が公表され、投手力を軸に、国内リーグや海外リーグで経験を積んだ選手とMLB経験者を組み合わせた陣容となった。
大会記録に掲載された選手をポジション別に整理すると、主な顔ぶれは次のとおりだ。選手の登録状況やポジション表記は、発表時点の名簿と実際の大会記録で異なる場合がある。
投手
- フランク・アルバレス
- エマニュエル・チャップマン
- ホシマル・クシン
- アルマンド・ドゥエニャス
- デニー・ラロンド
- ヨアン・ロペス
- ライデル・マルティネス
- ランディ・マルティネス
- リバン・モイネロ
- ダリエン・ヌニェス
- フリオ・ロバイナ
- オシエル・ロドリゲス
- ヤリエル・ロドリゲス
- ルイス・ロメロ
- ペドロ・サントス
捕手
- オマール・エルナンデス
- アンドリス・ペレス
内野手
- エリスベル・アルエバルエナ
- イディ・カッペ
- ヨアン・モンカダ
- マルコム・ヌニェス
- アレクセイ・ラミレス
- クリスティアン・ロドリゲス
- アレクサンダー・バルガス
- ヨエル・ヤンキ
外野手
- アルフレド・デスパイネ
- ヨエルキス・ギベルト
- アリエル・マルティネス
- レオネル・モアJr.
- ロエル・サントス
この陣容で特に目を引いたのは、投手陣に日本プロ野球で実績を残したモイネロとライデル・マルティネスがいたこと、そして野手の中心をモンカダとデスパイネが担ったことだ。ヤリエル・ロドリゲスも加わり、投手陣には国際舞台で勝負できる実力者がそろっていた。
ただし、選手名の知名度とチーム全体の戦力は同じではない。MLBでプレーする野手が限られたことに加え、捕手や外野の選択肢にも厚みを欠く面があった。投手の個人能力を、チーム全体の勝利へ結びつけられるかどうかが大きな課題だった。
【WBCキューバ代表のスタメン】モンカダとデスパイネを軸にした打線
キューバ代表の打線を考えるうえで参考になるのが、2026年3月6日のパナマ戦で発表された先発オーダーだ。MLB公式の試合前会見記録によると、ロエル・サントス、モンカダ、アリエル・マルティネス、デスパイネらを並べ、モイネロを先発投手に起用した。
パナマ戦の先発オーダー
- 1番・ロエル・サントス(中堅)
- 2番・ヨアン・モンカダ(三塁)
- 3番・アリエル・マルティネス(一塁)
- 4番・アルフレド・デスパイネ(指名打者)
- 5番・エリスベル・アルエバルエナ(遊撃)
- 6番・オマール・エルナンデス(捕手)
- 7番・ヨエルキス・ギベルト(右翼)
- 8番・レオネル・モアJr.(左翼)
- 9番・イディ・カッペ(二塁)
この並びでは、モンカダの出塁・長打力と、デスパイネの勝負強さが中軸のポイントになった。加えて、アリエル・マルティネスやギベルトらが得点機を広げられるかが、打線全体の働きを左右した。
実際、パナマ戦ではギベルトが2回に先制本塁打を放ち、モンカダも本塁打を記録。キューバは3対1で勝利し、幸先のよいスタートを切った。続くコロンビア戦でも7対4で勝利しており、序盤の2試合では打線が得点を生み出していた。
ただし、この先発オーダーが4試合を通じた固定スタメンだったわけではない。対戦相手や投手起用に応じて選手の配置は変わり、後半2試合では得点力が大きく低下した。初戦で機能した攻撃を、プエルトリコやカナダの投手陣に対して再現できなかったことが、敗退につながる重要な要素となった。
【試合結果・日程・順位】キューバが2勝2敗で1次ラウンド敗退した経緯
2026年大会のプールAは、プエルトリコのサンフアンにあるヒラム・ビソーン・スタジアムで開催された。キューバはパナマ、コロンビアに連勝したものの、プエルトリコとカナダに敗れ、最終順位は3位。上位2チームに与えられる準々決勝進出枠を獲得できなかった。
以下は、現地開催日と日本時間の日付を併記したキューバの全試合結果だ。公式日程では日本時間の試合日が現地時間より1日後になるカードがあるため、日付を確認する際には注意したい。
| 現地日付 | 対戦相手 | スコア | 結果・ポイント |
|---|---|---|---|
| 3月6日(日本時間7日) | パナマ | キューバ 3-1 パナマ | 初戦勝利。ギベルト、モンカダが本塁打 |
| 3月8日(日本時間9日) | コロンビア | キューバ 7-4 コロンビア | 連勝で2勝0敗とする |
| 3月9日(日本時間10日) | プエルトリコ | プエルトリコ 4-1 キューバ | 打線が2安打に抑えられ、初黒星 |
| 3月11日(日本時間12日) | カナダ | カナダ 7-2 キューバ | 5安打にとどまり、敗退が決定 |
最終順位は、1位カナダが3勝1敗、2位プエルトリコが3勝1敗、3位キューバが2勝2敗、4位コロンビアが1勝3敗、5位パナマが1勝3敗だった。キューバは4試合で13得点、16失点。得失点差はマイナス3となった。
敗退を決定づけたのは、後半2試合の攻撃停滞だ。プエルトリコ戦では4失点に対して得点は1点にとどまり、カナダ戦でも相手に11安打を許す一方、キューバの安打は5本だった。序盤の2試合で計10得点を挙げた攻撃が、勝負どころで再現できなかった。
カナダ戦ではモイネロが先発し、3回2/3を投げて自責点0を記録したが、チームは2対7で敗れた。個人の防御率が優秀でも、救援陣の失点や守備、打線の援護不足が重なれば勝利は遠のく。投手の実力だけでは説明できないチーム競技の難しさが表れた試合だった。
ここで押さえたいのは、2勝2敗という成績だけで敗退が決まるわけではないという点だ。2023年大会のキューバも1次ラウンドを2勝2敗で終えながら、当時の順位決定条件によって突破している。2026年はプールAでカナダとプエルトリコがともに3勝1敗となり、キューバは3位にとどまった。勝敗数だけでなく、同じ組の対戦成績と順位決定ルールを確認する必要がある。
【主力辞退の経緯】なぜ2026年のキューバ代表はベストメンバーを組めなかったのか
大会前のキューバ代表をめぐっては、MLBでプレーする有力選手の不参加が大きな話題となった。ただし、全員が同じ理由で辞退したわけではない。本人が出場を見送ったケース、代表選考や招集をめぐる問題、参加条件についての意向など、事情を分けて理解する必要がある。
アンディ・イバニェス、デイズベル・エルナンデス、アンディ・パヘスについては、キューバ野球を継続的に取材するCuba Dugoutが、大会直前に参加を見送った選手として報じている。同記事によれば、本人たちは春季キャンプに集中し、MLBのロースター入りやチーム内での立場を確保することを優先した。
MLBの春季キャンプは、レギュラーシーズン開幕前の重要な選考期間でもある。若手選手や出場機会を確保したい選手にとって、国際大会への参加は大きな名誉である一方、所属球団での競争やコンディション調整との両立が必要になる。代表への思いだけでは決められない事情が存在する。
加えて、2023年大会でキューバの中心選手だったルイス・ロベルトJr.も、2026年大会への参加をめぐって条件付きの姿勢を示していた。Cuba Dugoutの報道では、キューバ系米国人を含む選手が代表に参加できることを重視していたとされる。これは単純なコンディション問題とは異なり、代表の選考方針や参加資格をめぐる問題だった。
また、ザック・ネトのようにキューバ系米国人として候補に名前が挙がった選手についても、招集や選考をめぐる不透明さが指摘されていた。ただし、候補として話題になったことと、正式に招集されて辞退したことは同じではない。こうした経緯を一括して「主力が辞退した」と表現すると、本人の意思と代表側の編成上の事情を混同してしまう。
結果的に、2026年のキューバ代表はモンカダを中心とした野手陣に頼る構成となった。投手にはモイネロやライデル・マルティネスら実力者がいたものの、MLBで活躍する野手を幅広く集められなかったことは、選手層という面で不利に働いた。
主力不参加の問題は、個々の選手の責任だけで片づけられない。代表チームが選手を招集する際の連絡、参加資格の扱い、所属球団との調整、選手自身のキャリア上の判断を、どこまで円滑に進められるかが問われた大会だった。
【注目選手4人】モイネロ、モンカダ、デスパイネ、ヤリエル・ロドリゲスの評価
2026年のキューバ代表を振り返るうえでは、知名度の高い選手を一括して評価するのではなく、投手と野手の役割を分けて見ることが重要だ。大会記録からは、個人の持ち味を示した選手がいた一方、チーム全体の結果に結びつける難しさも読み取れる。
1.リバン・モイネロ(Liván Moinelo)
モイネロは福岡ソフトバンクホークスで実績を積んだ左腕で、2025年には日本プロ野球のパ・リーグ最優秀選手に選ばれた。2026年大会でもキューバ投手陣の柱として期待され、パナマ戦とカナダ戦で先発した。
MLB公式の大会記録では、モイネロは1勝1敗、防御率0.00で大会を終えている。特にカナダ戦では自責点を許さなかった。防御率だけを見れば際立った結果だが、チームは敗戦している。モイネロのような好投手を擁しても、攻撃面の援護や救援投手との連携が不十分であれば勝ち切れないことを示す数字だ。
2.ヨアン・モンカダ(Yoán Moncada)
モンカダはMLB経験を持つ内野手で、キューバ打線の中軸を担った。パナマとの初戦では本塁打を放ち、代表の連勝スタートに貢献した。長打力と国際経験を備えた選手であり、相手投手にプレッシャーをかけられる存在だった。
一方、MLB公式の大会記録に掲載された最終成績は打率1割5分4厘、本塁打1本、2打点。初戦での活躍はあったものの、4試合を通して打線をけん引するほどの安定した結果には至らなかった。主力としての期待が大きかっただけに、終盤の得点力不足はチームにとって痛手となった。
3.アルフレド・デスパイネ(Alfredo Despaigne)
デスパイネはキューバを代表する長距離打者で、MLB公式のWBC歴代記録では通算7本塁打を誇る。本塁打数は大会史上最多であり、長年にわたり国際舞台で存在感を示してきた打者だ。
しかし、2026年大会では打率1割3分3厘、本塁打0本にとどまった。経験と実績は大きな財産だが、過去の実績がそのまま現在の得点力を保証するわけではない。デスパイネを中心に据えるだけでなく、前後の打者が出塁し、相手投手に連続してプレッシャーをかける攻撃設計が必要だった。
4.ヤリエル・ロドリゲス(Yariel Rodríguez)
ヤリエル・ロドリゲスは、2023年大会でも注目された投手だ。2026年はトロント・ブルージェイズとの調整のもとで代表に加わり、先発ではなく救援での起用が中心となった。Cuba Dugoutは、球団側の条件として登板イニングを制限する運用があったと伝えている。
このような起用条件は、国際大会における代表と所属球団の関係を考えるうえで重要だ。代表監督が自由に投手の役割を決められるとは限らず、球団側のコンディション管理や契約上の事情も起用法に影響する。実力のある投手を招集できても、使い方に制約があれば、チーム全体の投手運用は難しくなる。
なお、野手ではアリエル・マルティネスも見逃せない。大会記録では打率4割6分2厘、1本塁打、4打点を記録し、打線の中で結果を残した。モイネロやモンカダといった有名選手だけでなく、実際に得点へつなげた選手の働きまで見ることが、代表の実力を正確に評価するポイントになる。
【歴代成績と2023年比較】キューバ代表はなぜ初の1次ラウンド敗退に陥ったのか
キューバはWBC創設当初から国際大会の有力国として知られてきた。2006年の第1回大会では決勝に進出し、日本に敗れたものの準優勝。2009年にも上位に入り、2013年、2017年と大会を重ねてきた。2023年大会では再び準決勝へ進出し、アメリカに敗れて4位となっている。
MLB公式の大会史やCuba Dugoutの記録を整理すると、歴代成績は次のようになる。
- 2006年:準優勝。決勝で日本に6対10で敗れる。
- 2009年:5~6位。2次ラウンドで敗退。
- 2013年:5位。2次ラウンドで敗退。
- 2017年:7~8位。2次ラウンドで敗退。
- 2023年:4位。準決勝でアメリカに2対14で敗れる。
- 2026年:10位。プールAを2勝2敗で終え、1次ラウンド敗退。
2006年から2023年までの5大会では、キューバは一度も1次ラウンドで敗退していなかった。2026年の結果は、単に順位を落としただけではなく、従来維持してきた大会突破の流れが途切れたことを意味する。
2023年大会との最大の違いは、MLBで活躍する野手の存在と、打線全体の厚みだった。2023年にはルイス・ロベルトJr.やモンカダらが打線の中核を担い、準決勝まで進んだ。2026年はモンカダが引き続き主力を担った一方、ロベルトJr.をはじめとする有力選手の不参加が重なり、攻撃面で頼れる選択肢が限られた。
もちろん、2023年と2026年の差を、選手の不参加だけで説明するのは十分ではない。野球は短期決戦であり、投手の調子、守備のミス、得点圏での打撃、対戦相手との相性が結果を左右する。2026年のキューバは序盤に2連勝しており、戦力が完全に通用しなかったわけではない。問題は、強豪相手の後半2試合で攻撃を継続できなかったことにある。
加えて、プールAではカナダとプエルトリコがともに3勝1敗を記録した。キューバが準々決勝へ進むには、序盤の勝利を生かし、どちらかの強豪から勝利を奪う必要があった。結果的に両チームに敗れたことで、突破争いから脱落した。
【プロの結論】2026年大会のキューバ代表を評価する際は、選手個人の実績、実際の大会成績、代表編成の事情を分けて考えるべきだ。モイネロの防御率0.00やデスパイネのWBC通算7本塁打は、それぞれ価値のある実績である。しかし、それらの数字だけでチームの強さを判断することはできない。
今後の課題は、第一に代表招集の手続きを改善し、MLB所属選手や海外リーグの選手と早期に調整すること。第二に、主力の不参加を想定しても打線の得点力を維持できる選手層を整えること。第三に、先発・救援の役割や守備配置を含め、短期決戦での戦術を柔軟に組み立てることだ。伝統国としての実績を再び結果につなげるには、過去の名声だけでなく、現在の編成と運用を見直す必要がある。
【WBCキューバ代表】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年のWBCキューバ代表は何位でしたか?
A1:プールAを2勝2敗で終え、5チーム中3位でした。カナダとプエルトリコがともに3勝1敗で準々決勝へ進出したため、キューバは1次ラウンドで敗退しました。
Q2:2026年大会のキューバ代表で注目された選手は誰ですか?
A2:投手ではリバン・モイネロ、ヤリエル・ロドリゲス、ライデル・マルティネス、野手ではヨアン・モンカダ、アルフレド・デスパイネ、ヨエルキス・ギベルト、アリエル・マルティネスらが注目されました。
Q3:キューバ代表はなぜ2勝2敗で敗退したのですか?
A3:プールAでカナダとプエルトリコが3勝1敗となり、上位2チームに入れなかったためです。2023年大会でもキューバは1次ラウンドを2勝2敗で終えましたが、順位決定条件が異なり突破していました。勝敗数だけでなく、組内の順位と大会規定を確認する必要があります。
まとめ:キューバ代表の復活には選手層と代表編成の改善が不可欠
2026年のWBCキューバ代表は、モイネロ、モンカダ、デスパイネら実績ある選手を擁しながら、プールAを2勝2敗の3位で終えた。パナマとコロンビアに勝利した一方、プエルトリコとカナダに連敗し、WBC史上初の1次ラウンド敗退を経験した。
今回の結果は、投手や野手の個人能力だけでなく、代表選考、MLB所属選手との調整、打線の層の厚さ、短期決戦での試合運びといった複数の問題を浮かび上がらせた。2023年大会のベスト4という実績があっても、次の大会で同じ結果を保証するものではない。
キューバが再び上位進出を目指すには、国内外の選手を結びつける代表編成の改善と、主力が欠けても得点できるチームづくりが欠かせない。2026年大会の敗退は、伝統国キューバが国際野球で競争力を取り戻すための課題を示した大会だった。