ベロの横が痛い、舌の側面に白いできものがある、赤く腫れて食事や会話のたびにしみる――。こうした症状が現れると、「口内炎だから自然に治るだろう」と考える一方で、重大な病気ではないかと不安になる人もいるはずです。
舌の側面の痛みには、アフタ性口内炎や歯との擦れ、舌炎、ドライマウスなど、さまざまな原因が考えられます。まれに舌がんなどの病気が隠れていることもあり、見た目だけで原因を断定することはできません。国立がん研究センターの「がん情報サービス」でも、舌のしこりやただれ、治りにくい口内炎、粘膜の赤白い変化などが舌がんの症状として紹介されています。
【原因を解説】ベロの横が痛いのはなぜ?考えられる5つの原因

舌の側面は、食事や会話で動くたびに歯と接触しやすい部位です。小さな傷でも刺激が繰り返されると炎症が長引き、痛みを強く感じることがあります。Medical DOCやMedicalookの医師監修記事でも、口内炎、舌炎、ドライマウスなどが舌の側面の痛みを引き起こす原因として取り上げられています。
1.アフタ性口内炎
舌の横にできる痛みを伴うできものの原因として、まず考えられるのが口内炎です。代表的なアフタ性口内炎では、白〜黄白色の浅い潰瘍ができ、その周囲が赤くなります。食べ物や飲み物が触れると、しみるような痛みやズキズキする痛みが生じるのが特徴です。
口内炎は、粘膜への小さな傷、疲労、ストレス、栄養状態など、複数の要因が関係して起こることがあります。ただし、見た目が似ていても、すべてがアフタ性口内炎とは限りません。何度も同じ場所にできる場合や、通常の口内炎と違って長引く場合は、原因を調べる必要があります。
2.歯との擦れ・舌を噛んだことによる傷
尖った歯、欠けた歯、詰め物や被せ物の形状、合わない入れ歯などが舌に当たると、粘膜が傷ついて痛みが出ることがあります。食事中に舌を噛んだ場合も同様です。
舌の側面に傷や潰瘍があり、特定の歯に触れると痛みが強くなるなら、歯からの刺激が関係している可能性があります。傷が治りかけても同じ場所を擦り続ければ、症状が繰り返されます。歯科で刺激の原因を確認してもらうことが大切です。
3.舌炎による赤い腫れ・ふちのでこぼこ
舌炎は、舌に炎症が起きている状態です。赤みや腫れ、ヒリヒリした痛み、表面のただれなどが見られることがあります。熱い飲食物によるやけど、機械的な刺激、感染症など、原因は一つではありません。
舌のふちに歯形のようなでこぼこがついている場合、舌が歯に押しつけられていることも考えられます。ただし、歯形があるだけで舌炎や特定の病気と診断できるわけではありません。腫れが強い、痛みが続く、舌を動かしにくいといった症状がある場合は受診しましょう。
4.ドライマウスによる舌のヒリヒリ
唾液が減って口の中が乾燥するドライマウス(口腔乾燥症)でも、舌がヒリヒリしたり、食べ物がしみたりすることがあります。唾液には口の中を潤し、粘膜を保護する働きがあるため、乾燥すると刺激を受けやすくなります。
口呼吸、ストレス、加齢、薬の副作用、全身の病気などが乾燥に関係する場合があります。口が粘つく、夜間や起床時に乾燥が強い、飲み込みにくいといった症状を伴うなら、舌の傷だけでなく口全体の状態にも目を向けましょう。
5.舌痛症など、目で見える傷がない痛み
舌に明らかな傷やできものが見当たらないのに、ヒリヒリ、ピリピリ、焼けるような痛みが続く場合は、舌痛症なども鑑別の対象になります。口腔内の異常が目立たないことがある一方、口の乾燥、歯の刺激、貧血など別の要因が関係しているケースもあります。
舌痛症と自己判断するのではなく、まずは口腔内の病変や全身的な原因がないかを調べることが大切です。原因が特定できない痛みが続く場合も、歯科口腔外科や歯科などで相談してください。
【症状で比較】白いできもの・赤い腫れ・でこぼこは何が違う?
舌の側面に現れる変化は、色や形、痛み方によって考えられる原因が異なります。ただし、これらはあくまで受診の参考になる特徴であり、症状の見た目だけで病名を確定することはできません。
| 見られる症状 | 考えられる原因 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 白〜黄白色の浅い潰瘍と赤い縁 | アフタ性口内炎、外傷性潰瘍など | 食事でしみるか、徐々に改善しているか |
| 歯に触れる場所の傷や腫れ | 歯との擦れ、舌を噛んだ傷 | 尖った歯や詰め物が繰り返し当たっていないか |
| 舌のふちの赤み、腫れ、ただれ | 舌炎、刺激による炎症など | 熱い食べ物や機械的な刺激の有無 |
| 乾燥感を伴うヒリヒリ | ドライマウスなど | 口の渇き、口呼吸、服用中の薬 |
| 硬いしこり、治りにくいただれ、赤白い斑点 | 舌がんなどの病変も含めた精査が必要 | 症状の持続、出血、舌の動かしにくさ |
| 目立つ傷がないのに続くピリピリした痛み | 舌痛症、乾燥、全身的な要因など | 痛みの持続時間、口の乾燥、ほかの症状 |
特に注意したいのは、「白いできものだから口内炎」「赤いから炎症」と色だけで判断してしまうことです。舌がんでも、粘膜が赤くなったり白く変色したり、しこりや治りにくいただれが現れたりします。逆に、白い潰瘍があるからといって、直ちにがんを意味するわけでもありません。
症状がいつから続いているか、以前と比べて大きくなっていないか、硬さや出血の有無、歯との接触などを確認し、必要に応じて医療機関で診察を受けることが、適切な判断につながります。
【自宅でできる対処法】ベロの横の口内炎を悪化させないコツ
軽い口内炎や小さな傷が疑われる場合は、刺激を減らし、口の中を清潔に保つことが基本です。国立がん研究センターの「がん情報サービス」でも、口内炎や口腔乾燥へのケアとして、丁寧な口腔清掃、刺激を避けること、水分補給などが紹介されています。症状が強い場合や長引く場合は、セルフケアだけで済ませないでください。
辛いもの・熱いもの・酸味の強いものを控える
唐辛子を使った料理、熱すぎる飲食物、柑橘類や酢などの酸味が強い食品は、傷ついた粘膜にしみて痛みを増すことがあります。症状が落ち着くまでは、ぬるめで柔らかい食事を選び、無理に硬いものを食べないようにしましょう。
やさしく歯を磨き、口の中を清潔にする
痛みがあるからといって口腔清掃を怠ると、口の中の衛生状態が悪化するおそれがあります。歯ブラシは強く押しつけず、患部に当たらないようにやさしく磨きましょう。刺激の少ないうがいも役立ちますが、患部を強くこすったり、何度も触ったりすることは避けてください。
乾燥を防ぎ、十分な水分を取る
口の渇きがある場合は、少量ずつこまめに水分を補給しましょう。必要に応じて、市販の口腔保湿ジェルやスプレーを活用する方法もあります。乾燥が続く場合は、服用中の薬や口呼吸などの影響も考えられるため、医師や歯科医師に相談してください。
歯の尖りや詰め物が原因なら、歯科で調整する
舌の同じ位置が繰り返し傷つく場合、原因となる歯や詰め物を確認する必要があります。自分で歯を削ったり、患部を針などでつついたりするのは危険です。刺激の原因を取り除けるか、歯科で相談しましょう。
なお、通常の口内炎は時間とともに改善することがありますが、すべての舌の病変が自然に治るわけではありません。セルフケアを続けても改善しない場合や、しこり、出血、潰瘍の拡大がある場合は、受診を優先してください。
【見逃さないために】舌がんの初期症状と口内炎の見分け方
舌の側面に痛みがあると、舌がんを心配する人もいるでしょう。国立がん研究センターの「がん情報サービス」によると、舌がんは舌の両脇にできることが多く、硬いしこり、ただれ、舌の動かしにくさ、しびれ、治りにくい口内炎などが症状として挙げられています。粘膜が赤くなる紅板症や、白くなる白板症が見られる場合もあります。
口内炎と舌がんは、見た目だけでは区別できない
一般的なアフタ性口内炎は、浅い潰瘍と赤い縁が特徴で、時間とともに改善することが多い病変です。一方、舌がんでは、硬いしこりや治りにくいただれ、赤白い粘膜の変化などが現れることがあります。ただし、初期の病変が必ずしも典型的な外見を示すとは限らず、痛みの有無だけで判断することもできません。
「痛くないから大丈夫」「口内炎のように見えるから問題ない」と決めつけないことが大切です。反対に、舌の痛みがあるだけで、舌がんだと考える必要もありません。重要なのは、症状の経過と診察結果に基づいて判断することです。
次の症状があれば、早めに医療機関へ
- 2週間程度たっても、潰瘍や痛みが改善しない。
- 舌に硬いしこりがある、またはできものが大きくなっている。
- 同じ場所から出血を繰り返す。
- 赤い斑点や白い斑点、治りにくいただれがある。
- 舌が動かしにくい、しびれる、飲み込みにくいなどの症状がある。
- 首のしこりなど、口の中以外にも気になる変化がある。
これらの症状があっても、必ず舌がんというわけではありません。しかし、診察を受けずに見た目だけで良性と決めつけることは避けるべきです。国立がん研究センターは、気になる症状がある場合、早めに耳鼻咽喉科や歯科を受診するよう案内しています。必要に応じて、歯科口腔外科や頭頸部外科などで詳しい検査を行います。
息苦しさ、急激に進む舌や口の腫れ、唾液も飲み込めないほどの症状がある場合は、通常の受診予約を待たず、緊急の医療対応を求めてください。
【何科を受診する?】市販薬の選び方と受診の目安
舌の横が痛いときは歯科口腔外科が相談先の一つ
舌の側面の痛みやできものについては、歯科口腔外科が相談先の一つです。歯が当たって傷ついている可能性も含め、口の中を診察してもらえます。歯科口腔外科が近くにない場合は、一般歯科や耳鼻咽喉科でも相談できます。
口の乾燥が強い、服用中の薬が関係していそう、全身症状もあるといった場合は、内科などでの評価が必要になることもあります。受診先に迷う場合は、まず通いやすい歯科または耳鼻咽喉科に相談し、必要に応じて専門医療機関を紹介してもらうとよいでしょう。
市販薬を使うなら、症状と薬の対象を確認する
市販の口内炎用塗り薬や貼付剤などは、適応する口内炎の痛みを和らげる目的で使われます。ただし、口内炎に見える病変のすべてに同じ薬が使えるわけではありません。感染症が疑われる場合や、原因が分からないできもの、長引く潰瘍などでは、自己判断で薬を使い続けず、薬剤師や医師、歯科医師に相談してください。
特に、ステロイド成分を含む口内炎用薬は、製品ごとに使用できる症状や注意事項が異なります。添付文書を確認し、対象となる口内炎以外の症状には使用しないことが大切です。痛み止めを使う場合も、持病や妊娠の可能性、ほかに服用している薬などによって注意点が変わるため、薬剤師に確認しましょう。
痛みが一時的に軽くなっても、原因が解決したとは限りません。薬を使っても症状が改善しない、繰り返し再発する、患部が硬い、出血する、2週間程度たっても治らないといった場合は、受診を優先してください。
【ベロの横痛い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ベロの横に白いできものができたら、口内炎ですか?
A1:白〜黄白色の浅い潰瘍であれば、アフタ性口内炎や歯との擦れによる傷などが考えられます。ただし、白い病変にはほかの原因もあり、見た目だけでは診断できません。硬いしこりがある、拡大する、出血する、長引く場合は歯科口腔外科や耳鼻咽喉科で診察を受けてください。
Q2:舌の横の口内炎は、何日くらいで治りますか?
A2:一般的な口内炎は自然に改善することがありますが、治るまでの期間は原因や症状によって異なります。歯との擦れなどの刺激が続けば、治りにくくなることもあります。2週間程度たっても改善しない場合は、単なる口内炎と決めつけず、医療機関に相談しましょう。
Q3:舌の横が痛いだけでも、舌がんの可能性はありますか?
A3:舌の痛みには口内炎や外傷など多くの原因があり、痛みだけで舌がんかどうかは判断できません。一方、舌がんでは痛みのほかに、硬いしこり、治りにくいただれ、赤白い斑点、舌の動かしにくさなどが現れることがあります。気になる変化が続く場合は早めに受診してください。
まとめ:ベロの横が痛いときは、見た目より経過と受診のタイミングを重視
ベロの横が痛い原因には、アフタ性口内炎、歯との擦れ、舌炎、ドライマウス、舌痛症などがあり、症状だけで一つに絞ることはできません。白〜黄白色の潰瘍や赤い腫れは口内炎でも起こりますが、舌がんなどの病変でも似た変化が現れることがあります。
軽い痛みで、明らかな刺激があり、症状が改善している場合は、患部への刺激を減らし、口の中を清潔に保ちながら経過を見られることもあります。しかし、2週間程度たっても改善しない、硬いしこりがある、出血する、病変が大きくなる、舌が動かしにくいといった場合は、自己判断で様子を見続けないでください。
受診先は歯科口腔外科、歯科、耳鼻咽喉科などが候補になります。市販薬で痛みを抑えることだけを目的にせず、必要に応じて原因そのものを確認することが、適切な対処への近道です。舌の変化が気になるときは、症状が軽いうちから専門家に相談しましょう。
主な参考情報:国立がん研究センター「がん情報サービス(舌がん)」、Medical DOC「舌の側面が痛い原因と受診目安」、Medicalook「舌の側面が痛い!病院は何科?6つの原因も」。