ヒトリエの「アンノウン・マザーグース」は、ボカロPとしても知られたwowakaが作詞・作曲を手がけたボーカロイド楽曲を、自身がボーカルを務めるロックバンド・ヒトリエでセルフカバーした作品です。初音ミクが歌う原曲は2017年8月22日に公開され、ヒトリエ版は同年10月22日に配信を開始。加えて、12月6日発売のミニアルバム『ai/SOlate』にも収録されました。
2024年4月26日には、ヒトリエが「THE FIRST TAKE」に初登場し、新体制で「アンノウン・マザーグース」を披露。wowakaが生み出した楽曲が、初音ミクの歌声、wowaka本人の歌唱、そして現在のヒトリエによる演奏という異なる形で受け継がれていることを、改めて印象づけました。
【ヒトリエ版と原曲は何が違う?】wowakaが生んだ2つの表現

「アンノウン・マザーグース」を理解するうえで押さえたいのは、初音ミクが歌う原曲と、ヒトリエによるセルフカバーが、同じ楽曲でありながら異なる表現を持っていることです。
原曲は、wowaka名義で発表されたボーカロイド楽曲です。2017年8月22日にニコニコ動画へ投稿され、初音ミク10周年を記念したコンピレーションアルバム『Re:Start』にも収録されました。wowakaにとって、ボカロPとしての活動を再び強く印象づける作品となりました。
一方、ヒトリエ版では、初音ミクの歌声に代わり、wowaka本人がボーカルを担当しています。ギター、ベース、ドラムを含むバンドの演奏によって、楽曲の言葉とメロディーが生身の歌唱とロックサウンドの中で再構成されました。
つまり、これは別の歌詞やメロディーを使った新曲ではありません。作詞・作曲の核を維持しながら、歌い手と演奏の形を変えたセルフカバーです。原曲では合成音声ならではの響きが楽曲を支え、ヒトリエ版ではwowakaの声の質感や息遣いが前面に出ます。
両者を聴き比べる際は、どちらが優れているかを決めるよりも、同じ言葉が歌い手の違いによってどのような感情として届くのかに注目すると、作品の魅力が見えやすくなります。
【公開日・配信日・発売日】2017年の経緯を年表で整理
「アンノウン・マザーグース」は、原曲の動画公開、ヒトリエ版のデジタル配信、ミニアルバムへの収録という段階を経て広がりました。検索時に混同されやすいのが、2017年10月の配信日と12月6日のCD発売日です。
| 日付 | 出来事 | 内容 |
|---|---|---|
| 2017年8月22日 | 原曲を公開 | wowakaが初音ミク歌唱版をニコニコ動画に投稿。『Re:Start』収録曲としても発表。 |
| 2017年10月22日 | ヒトリエ版を配信 | wowaka本人の歌唱によるセルフカバーが、各種配信サービスなどで公開開始。 |
| 2017年10月29日 | ミニアルバムの発売を告知 | 『ai/SOlate』の12月6日リリースがソニーミュージックから発表された。 |
| 2017年12月6日 | ミニアルバム発売 | 『ai/SOlate』にヒトリエ版を収録。初回生産限定盤にはライブ音源を収めたCDも付属。 |
| 2019年4月 | wowakaが逝去 | 以降のヒトリエは、シノダがボーカルを務める3人体制で活動を続ける。 |
| 2024年4月26日 | THE FIRST TAKEに出演 | 新体制のヒトリエが「アンノウン・マザーグース」を一発撮りで披露。 |
ソニーミュージックの公式告知によると、ヒトリエ版の配信開始日は2017年10月22日です。その後、同曲を収録したミニアルバム『ai/SOlate』が12月6日に発売されました。配信シングルとしての公開日と、アルバムの発売日を分けて覚えておくと、情報を正しく整理できます。
なお、公式ディスコグラフィーには、2018年7月11日発売のライブ音源「アンノウン・マザーグース 2018.3.25 at EX THEATER ROPPONGI」も掲載されています。原曲、スタジオ録音のセルフカバー、ライブ音源は、それぞれ異なる作品形態です。
【セルフカバーの理由】wowakaはなぜ自分のボカロ曲を歌ったのか
セルフカバーという形式には、ボーカロイドのために作られた楽曲を、作者自身の声とバンド演奏で再提示するという意味があります。「アンノウン・マザーグース」では、作曲者と歌い手が異なる原曲から、wowaka本人が歌うヒトリエ版へと表現の軸が移りました。
ソニーミュージックの2017年10月22日の告知は、wowakaが同年8月に公開したボーカロイド楽曲を、本人の歌唱でヒトリエがセルフカバーした作品として紹介しています。ただし、この告知自体は制作の動機を一つに限定して説明するものではありません。
作品の構造から考えると、セルフカバーの面白さは、ボカロ曲を人間が歌い直したという事実だけではありません。初音ミクの声を通じて提示された言葉を、作り手自身が歌うことで、歌詞の意味と声の持つ個性との関係が改めて浮かび上がります。
ボーカロイド楽曲では、作り手が歌唱者の身体的な制約から離れた表現を設計できます。その一方で、人間の歌唱には声の揺れ、呼吸、発音、音の立ち上がりなど、歌い手固有の特徴があります。ヒトリエ版では、wowakaの作詞・作曲という同じ核に、本人の声とバンドの演奏が加わりました。
ここで重要なのは、セルフカバーを原曲の訂正版や上位版と捉えないことです。原曲の初音ミクによる表現も、ヒトリエ版の人間による表現も、それぞれ独立した聴きどころを持っています。2つのバージョンがあるからこそ、楽曲そのものと歌い手の表現を分けて考えられるのです。
【歌詞の意味】愛・声・歌をめぐる問いをどう読むか
「アンノウン・マザーグース」の歌詞を読む際には、愛についての言葉だけでなく、歌うこと、言葉を伝えること、他者とつながることをめぐる表現にも注目したいところです。
歌詞では、愛を語る主体と、それを受け取る相手との関係が描かれます。しかし、言葉にしただけで感情がそのまま伝わるとは限りません。言葉の意味と、受け手が感じ取るものとの間には距離があり、その距離そのものが作品の緊張感を生み出しています。
また、歌や音楽が単なる娯楽ではなく、人間の感情や認識を揺さぶるものとして扱われている点も特徴です。歌詞には、既存の表現をなぞることへの違和感や、自分の言葉で何かを伝えようとする切迫感を読み取れます。
タイトルの「Unknown Mother-Goose」も、作品を考える手がかりになります。「Mother Goose」は英語圏の童謡や伝承童話を連想させる言葉です。そこに「Unknown」という語が組み合わさることで、誰もが知っているはずの歌と、まだ誰にも知られていない物語という対照的なイメージが生まれます。
これはあくまで作品を読むための一つの解釈ですが、既存の歌を繰り返すことと、自分だけの表現を生み出すこととの間にある葛藤を考えると、タイトルと歌詞の関係が見えてきます。
歌詞の意味を一つの正解に固定する必要はありません。初音ミクの声で聴いたときに感じる距離感と、wowaka本人の歌唱で聴いたときの生々しさを比較すると、同じ言葉から異なる印象が生まれること自体が、この作品の大きな魅力だと分かります。
【公式音源とTHE FIRST TAKE】wowakaの歌唱からシノダの歌唱へ
ヒトリエ版を聴くなら、まずソニーミュージックが配信する公式音源を基準にし、その後でTHE FIRST TAKEの映像を聴く方法がおすすめです。録音されたスタジオ音源と、一発撮りのパフォーマンスでは、同じ曲でも演奏の手触りや歌唱の印象が異なります。
2017年の公式音源では、wowakaがボーカルを担当しています。作詞・作曲はwowaka、編曲はHITORIEというクレジットで、バンドの演奏と本人の歌唱が一体になったセルフカバーです。ソニーミュージックの公式配信音源や『ai/SOlate』収録版を探す場合は、このクレジットが目印になります。
一方、THE FIRST TAKEで披露されたのは、2024年4月26日に公開されたパフォーマンスです。番組の第430回として、メジャーデビュー10周年を迎えたヒトリエが初登場しました。2019年にwowakaが逝去した後、ギターのシノダがボーカルを務める3人体制での演奏です。
この違いは、単にボーカルが交代したというだけではありません。2017年版は作曲者自身が自分の作品を歌うセルフカバーであり、2024年版は、その作品をバンドが受け継ぎ、現在のメンバーで表現するパフォーマンスです。
THE FIRST TAKEの公式紹介では、ヒトリエがライブで演奏する際に、ファンのシンガロングとともに楽曲が育ってきたことにも触れられています。映像では、スタジオ音源との違いだけでなく、歌唱とバンド演奏が一体となる瞬間や、演奏全体の勢いにも注目するとよいでしょう。
初めて聴く人は、原曲、2017年のヒトリエ版、2024年のTHE FIRST TAKEの順に聴くと、歌い手と演奏の違いを比較しやすくなります。すでに原曲を知っている人なら、THE FIRST TAKEから聴き始め、どの部分で印象が変わったのかを確かめる方法もあります。
【Coachella 2026は本当?】初音ミクの歌唱が話題になった年を整理
「アンノウン・マザーグース Coachella 2026」という検索語を見かけることがありますが、初音ミクが同曲を披露したことで話題になった公演は、2026年ではなく2024年4月のコーチェラ・フェスティバルです。
THE FIRST TAKEの2024年4月26日の公開情報とBillboard JAPANの同日付記事は、同年4月にアメリカで開催されたCoachella Valley Music and Arts Festivalで、初音ミクが「アンノウン・マザーグース」を歌唱したことを紹介しています。公演のセットリスト情報にも同曲が記録されています。
一方、2026年のコーチェラは、公式フェスティバル情報によると4月10~12日と17~19日に開催されました。開催年の違いを整理すると、2024年の初音ミクのパフォーマンスと、2026年のフェスティバル日程を混同せずに済みます。
この出来事が楽曲を語るうえで重要なのは、ボーカロイド楽曲が日本国内の動画投稿文化だけにとどまらず、海外の大規模音楽フェスティバルでも演奏される作品になっていることです。初音ミクというバーチャルシンガーを通じて、作者の声とは異なる形でも楽曲が世界に届けられています。
なお、コーチェラでの初音ミクの歌唱と、THE FIRST TAKEでのヒトリエの演奏は、同じ楽曲を異なる場で披露した出来事です。前者は初音ミクによるパフォーマンス、後者はwowakaの逝去後のヒトリエによる演奏であり、同じものとして扱わないことがポイントです。
【ヒトリエアンノウンマザー グース】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:アンノウン・マザーグースの作詞・作曲者は誰ですか?
A1:原曲・ヒトリエ版ともに、作詞・作曲はwowakaです。ヒトリエ版の編曲はHITORIE名義でクレジットされています。
Q2:ヒトリエ版の配信日と発売日はいつですか?
A2:ヒトリエ版は2017年10月22日にデジタル配信が始まり、2017年12月6日発売のミニアルバム『ai/SOlate』にも収録されました。
Q3:THE FIRST TAKEで歌っているのはwowakaですか?
A3:いいえ。2024年4月26日公開のTHE FIRST TAKE版では、wowakaの逝去後にボーカルを務めるシノダが歌唱しています。2017年のセルフカバー公式音源ではwowaka本人がボーカルを担当しています。
Q4:原曲とセルフカバーは何が違いますか?
A4:原曲は初音ミクが歌うボーカロイド楽曲で、セルフカバーはwowaka本人が歌い、ヒトリエのバンド演奏で再構成したバージョンです。歌い手の違いによる声の質感や表現の変化が、主な聴きどころです。
Q5:Coachellaで初音ミクが歌ったのは2026年ですか?
A5:話題になった「アンノウン・マザーグース」の歌唱は2024年4月のコーチェラでの出来事です。2026年の開催日程とは区別して理解する必要があります。
まとめ:原曲・セルフカバー・現在のヒトリエを聴き比べる
ヒトリエの「アンノウン・マザーグース」は、wowakaが生み出したボーカロイド楽曲が、初音ミクの歌唱から本人のセルフカバー、そして現在のヒトリエによる演奏へと広がってきた作品です。原曲は2017年8月22日公開、ヒトリエ版は10月22日配信開始、12月6日にミニアルバム『ai/SOlate』へ収録という経緯をたどりました。
作品の魅力は、同じメロディーと歌詞が、異なる歌い手や演奏形態によって違った表情を見せる点にあります。歌詞の意味を考えたい人には原曲とwowaka版の聴き比べ、演奏の迫力を味わいたい人にはTHE FIRST TAKEがおすすめです。
また、Coachellaで初音ミクが同曲を歌唱したのは2024年の出来事であり、2026年の開催情報とは区別して把握する必要があります。日付や歌唱者を整理したうえで各バージョンを聴けば、「アンノウン・マザーグース」が持つ表現の幅と、wowakaからヒトリエへ受け継がれてきた楽曲の存在感を、より深く味わえるはずです。