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肺から出血したらどうする?血痰・喀血の原因と救急受診の目安を徹底解説

栗原 瑞穂 栗原 瑞穂 • 更新: • 公開: • 読了約 18 分
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せきをしたときに痰へ血が混じっていたり、口から突然血液が出てきたりすると、「肺から出血しているのではないか」「肺がんの可能性があるのでは」と不安になるものです。血痰や喀血は、肺がんだけでなく、肺炎、肺結核、気管支拡張症など、さまざまな病気で起こります。また、鼻や口の中、のどからの出血や、胃・食道からの吐血が肺からの出血に見えるケースもあります。

日本呼吸器学会の市民向け情報では、血痰や喀血の原因として、肺がん、肺結核、非結核性抗酸菌症、気管支拡張症、肺炎、肺アスペルギルス症、肺梗塞、心不全などが挙げられています。大切なのは、血液の量だけで自己判断せず、出血の仕方や呼吸状態を確認することです。特に、大量の出血が続く場合や息苦しさがある場合は、窒息や呼吸不全につながるおそれがあるため、緊急対応が必要です。

【緊急対応】肺から出血して息苦しい場合は?救急車を呼ぶ目安

肺から出血

血痰や喀血で最初に確認したいのは、出血の原因を推測することよりも、呼吸と全身の状態です。血液が気道をふさいだり、出血が続いて体内の血液が不足したりすると、命に関わることがあります。

日本呼吸器学会も、多量の喀血では窒息などの危険性があるとして、速やかな受診を勧めています。日本国内で次のような症状がある場合は、119番に通報してください。

  • 血液がまとまった量で出ている、または出血が止まらない
  • 何度も血を吐き出し、短時間で出血量が増えている
  • 息苦しい、呼吸が速い、呼吸が十分にできない
  • 冷や汗、強いふらつき、失神、意識がぼんやりするなどの症状がある
  • 唇や顔色が青白い、急激にぐったりしている
  • 血痰・喀血に強い胸痛などが伴い、全身状態が悪化している

救急車を呼ぶかどうかを、血液の量だけで決めないことが大切です。出血量の明確な境界を自分で測ろうとするより、呼吸困難や意識の変化、出血が続くかどうかを優先して判断してください。少量に見えても、急に状態が悪化することがあります。

救急車を待つ間は、本人が呼吸しやすい姿勢を取り、可能であれば上体を起こして少し前かがみになります。血液は無理に飲み込最初に、可能な範囲で口から出してください。意識がもうろうとしている人に飲食物や薬を与えてはいけません。自分で運転して病院へ向かうことも避けてください。

一方、痰に血の筋が少し混じっただけで、呼吸が普段どおりで全身状態も安定している場合、必ずしも救急車が必要とは限りません。ただし、血痰そのものは医療機関で原因を確認すべき症状です。初めて出た場合や繰り返す場合は、受診を先延ばしにしないでください。

【違いを比較】血痰・喀血・吐血はどう見分ける?

「肺から血が出る症状」として知られる血痰と喀血は、どちらも主に気管支や肺など、呼吸器からの出血に関係する言葉です。一方、吐血は消化管から出た血液を口から吐き出す状態を指します。出血源によって必要な検査や治療が異なるため、違いを知っておくことは大切です。

比較項目 血痰 喀血 吐血
主な出血源 気管支・肺など 気管支・肺など 胃・食道などの消化管
出方の特徴 痰に血が筋状、点状、または混じった状態 せきとともに血液そのものが出る状態 吐き気や嘔吐とともに血液が出ることが多い
血液の見た目 鮮紅色の血が混じることがある 鮮紅色で泡を含むことがある 暗赤色や黒褐色になることがある
考えられる原因 肺炎、気管支炎、肺がんなど 肺結核、気管支拡張症、肺がんなど 胃潰瘍、食道静脈瘤など
主な受診先 呼吸器内科 呼吸器内科・救急外来 消化器内科・救急外来

日本呼吸器学会の「呼吸器Q&A」でも、痰に血液が混じる状態を血痰、ほとんど血液そのものがせきとともに出る状態を喀血と区別しています。厳密には、出血量だけで機械的に分類できるわけではなく、血液がどこから、どのように出てきたかを総合的に判断します。

血痰と吐血の見分け方では、血の色だけに頼らないことがポイントです。せきとともに血が出たのか、吐き気や嘔吐の後に出たのか、痰や食べ物が混じっているかなどが判断材料になります。喀血では泡を含む鮮紅色の血が見られることがあり、吐血では胃酸の影響で暗い色になることがありますが、必ずしも典型的な見た目になるとは限りません。

また、鼻血がのどへ流れたり、歯肉や舌、咽頭などから出血したりしている場合もあります。出血源が分からないときは、自己判断で呼吸器の病気と決めつけず、まず医療機関で相談してください。

【原因を解説】肺から出血するのはなぜ?肺がん・肺炎・結核・気管支拡張症

肺から血が出る理由は一つではありません。気道の粘膜に炎症が起きて出血する場合もあれば、慢性的に傷んだ気管支や、腫瘍、肺の血管の異常などが原因になる場合もあります。血痰という同じ症状でも、背景にある病気によって治療方針は大きく異なります。

1.肺がんによる血痰

肺がんは、血痰の原因として見逃せない病気です。腫瘍が気管支などにできると、組織が傷ついて出血し、せきや痰に血液が混じることがあります。

国立がん研究センターの「がん情報サービス」によると、肺がんでは、せき、痰、血痰、胸の痛み、動いたときの息苦しさ、動悸、発熱などが見られることがあります。ただし、これらは肺炎や気管支炎などでも起こるため、血痰が出たからといって肺がんと決まるわけではありません。

反対に、血痰が一度出ただけだからといって、肺がんを否定することもできません。喫煙歴がある人や、原因の分からないせきが続く人、体重減少や胸痛などを伴う人は、特に早めに検査を受けることが大切です。肺がんは早期に目立った症状が出ない場合もあるため、症状が軽いことだけで安心しないようにしてください。

2.肺炎・気管支炎などの感染症

肺炎や気管支炎では、気道や肺の組織に炎症が起こり、粘膜が傷ついて血痰が出ることがあります。発熱、せき、痰の増加、黄色や緑色の痰、胸の痛みなどを伴う場合もあります。

感染症による血痰は、適切な治療で改善することがありますが、血痰だけで細菌感染かウイルス感染かを見分けることはできません。抗菌薬が必要かどうかも、原因や診察結果によって決まります。自己判断で手元の抗菌薬を服用するのではなく、医師の診察を受けてください。

3.肺結核による喀血

肺結核は、結核菌によって肺を中心に感染が起こる病気です。厚生労働省の結核に関する情報では、せき、痰、発熱、呼吸困難などの呼吸器症状が挙げられ、血痰や喀血が見られる場合もあります。

せきが長く続く、微熱や寝汗がある、体重が減ってきたといった症状に血痰が伴う場合は、結核を含む感染症の検査が必要です。周囲への感染を防ぐためにも、受診先へ事前に電話し、症状を伝えて指示を受けるとよいでしょう。長引くせきを単なる風邪と決めつけないことが大切です。

4.気管支拡張症による喀血

気管支拡張症は、空気の通り道である気管支が慢性的に広がり、痰がたまりやすくなったり、感染や炎症を繰り返したりする病気です。日本呼吸器学会の疾患解説では、慢性的なせきや痰に加え、進行した場合などに血痰や喀血が起こることが説明されています。

気管支拡張症では、普段から痰が多い人でも、血痰が出始めたり、出血量が増えたりした場合は注意が必要です。感染などをきっかけに症状が悪化することもあり、繰り返す喀血には止血処置や血管内治療が検討される場合があります。

5.そのほかに考えられる病気や薬の影響

血痰や喀血は、肺アスペルギルス症などの真菌感染症、非結核性抗酸菌症、肺梗塞、心不全、血管炎に伴う肺胞出血などでも起こることがあります。また、抗凝固薬や抗血小板薬など、血液が固まる働きに影響する薬を服用している人では、出血が起こりやすくなったり、止まりにくくなったりする可能性があります。

ただし、薬の影響が疑われる場合でも、自己判断で処方薬を中断するのは避けてください。出血があることを処方医や救急担当者に伝え、薬の継続や調整について指示を受ける必要があります。

【受診の目安】血痰が出たら何科へ行く?少量でも放置しないほうがよい理由

痰に少し血が混じっただけでも、原因によっては詳しい検査が必要です。受診の緊急度は、血液の量だけでなく、出血が続いているか、繰り返しているか、呼吸や全身の状態に変化があるかによって変わります。

  • 大量出血や息苦しさがある:日本国内なら119番に通報し、救急対応を受けてください。
  • 血痰が繰り返し出る、初めて血痰が出た:呼吸器内科などを早めに受診してください。
  • せきや痰が長引いている、発熱や胸痛を伴う:感染症や肺の病気を調べるため、早めに医療機関へ相談してください。
  • 鼻や口からの出血か、吐血か分からない:自己判断せず、内科や救急外来などで出血源を確認してください。
  • 抗凝固薬などを服用している:服用中の薬を医師に伝え、出血の評価を受けてください。

国立がん研究センターのがん情報サービスは、原因不明のせきや痰が2週間以上続く場合、血痰が出た場合などに、早めに医療機関を受診するよう案内しています。ただし、血痰が出たときに2週間待ってよいという意味ではありません。血痰は、症状が出た時点で原因を調べるべきサインです。

受診先は、呼吸器内科が基本です。血痰や喀血が疑われる場合は、肺や気管支の病気を診断できる医療機関を選びます。鼻や口、のどの出血が疑われれば耳鼻咽喉科など、吐血が疑われれば消化器内科などが適切な場合もあります。出血源が分からない場合は、一般内科や救急外来で相談してください。

受診時には、いつ血が出たか、どの程度の量だったか、何回繰り返したか、せきや発熱、胸痛、息苦しさがあるかを伝えましょう。可能であれば、血液が混じった痰の写真を記録しておくと、医師が状態を把握する助けになります。ただし、撮影のために受診や救急要請を遅らせてはいけません。

【検査方法】喀血の原因はどうやって調べる?胸部X線・CT・気管支鏡

血痰や喀血の検査では、出血源を推定するとともに、出血の程度と原因となる病気を調べます。検査の組み合わせは、出血量、呼吸状態、年齢、既往歴、喫煙歴、服薬状況などによって異なります。

問診と身体診察

最初に確認するのは、血液が出た状況や量、症状が始まった時期、せきや発熱、胸痛、息苦しさの有無です。鼻や口の中からの出血、吐血との区別も大切です。血圧、脈拍、呼吸状態、酸素飽和度などを確認し、緊急性を判断します。

血液検査・喀痰検査

血液検査では、貧血の程度や炎症の有無、血液が固まる働きなどを調べます。必要に応じて、酸素の状態を確認する検査も行われます。喀痰検査では、細菌や抗酸菌などの病原体、がん細胞の有無などを調べ、原因疾患の診断に役立てます。

胸部X線検査・胸部CT検査

胸部X線検査は、肺炎などの感染症や肺の異常を確認するための基本的な検査です。ただし、X線だけでは原因や出血部位を特定できないことがあります。

胸部CT検査では、肺や気管支の状態をより詳しく確認できます。必要に応じて造影CTを行い、出血源や異常な血管の有無を評価することもあります。気管支拡張症などの構造的な異常や、腫瘍、肺の血管に関連する病気を調べるうえでも役立ちます。

気管支鏡検査

気管支鏡検査は、細い内視鏡を気道に挿入し、気管や気管支の内部を観察する検査です。必要に応じて細胞や組織を採取したり、出血部位を確認したり、止血処置を行ったりします。

日本呼吸器内視鏡学会の一般向け解説でも、血痰や原因不明のせき、画像検査で肺がんや肺感染症などが疑われる場合は、気管支鏡検査が検討されると説明されています。ただし、すべての患者に必要なわけではなく、出血の状態やCTなどの結果を踏まえて医師が判断します。

なお、大量出血が続いている場合は、精密検査をすべて終えてから治療を始めるとは限りません。気道を確保して呼吸を保ち、出血を抑える処置を優先しながら、原因を調べることがあります。

【治療方法】肺からの出血はどう止める?止血剤・血管塞栓術・原因別治療

喀血の治療は、出血を止める処置と、出血を引き起こしている病気そのものの治療に分けて考えます。少量の血痰と、呼吸に影響する大量の喀血では、必要な対応が異なります。

1.安静・止血処置・呼吸管理

医療機関では、出血量や全身状態に応じて安静を保ち、必要に応じて止血薬や酸素投与などを行います。呼吸状態が悪い場合は、気道を確保して呼吸を維持する処置が必要になることもあります。

2.気管支鏡による止血

出血部位が確認できる場合などには、気管支鏡を使って出血を抑える処置が検討されます。出血の場所や程度によっては、気道内で出血を抑えるための器具や処置を使用することがあります。

3.気管支動脈塞栓術

大量の喀血や止血が難しい場合には、血管内にカテーテルを入れ、出血に関係する血管を塞ぐ「気管支動脈塞栓術」が選択されることがあります。出血源となる血管への血流を抑え、止血を目指す治療です。状況によっては手術などが必要になる場合もあります。

4.原因となる病気の治療

肺炎などの細菌感染症では、原因や状態に応じて抗菌薬を使用します。肺結核では、診断に基づいて抗結核薬による治療を行います。肺がんの場合は、がんの種類や進行度、患者の全身状態などに応じて、手術、放射線治療、薬物療法などを検討します。

気管支拡張症では、気道感染症の治療や痰を排出しやすくする管理を行い、喀血を繰り返す場合には血管塞栓術などを検討することがあります。原因によっては再出血を防ぐための長期的な管理が必要です。

日本呼吸器学会が示す治療の考え方でも、喀血への対応は出血量や原因疾患に応じて選択されます。市販のせき止め薬や止血薬だけで様子を見るのではなく、原因を調べたうえで適切な治療を受けることが大切です。

【プロの結論】肺から出血したときに知っておきたい判断基準と誤解

血痰や喀血について、特に注意したいのは「血が少しだけなら大丈夫」「肺から血が出たら肺がんに違いない」という両極端な判断です。どちらも正確ではありません。

血痰の原因には、感染症や気管支拡張症など、肺がん以外の病気も数多くあります。一方で、血液が少量しか混じっていなくても、肺がんを含めた重要な病気が隠れている可能性があります。見た目や量だけで病気を特定することはできません。

判断の基準は、次の3点です。

  • 緊急性を見極める:大量出血、出血の持続、息苦しさ、意識の異常などがあれば救急要請を優先します。
  • 出血源を確認する:肺や気管支だけでなく、鼻、口、のど、消化管からの出血も考慮します。
  • 原因疾患を調べる:血痰が少量でも、早めに受診し、必要な検査を受けます。

血痰が出たときは、血の色だけで原因を判断したり、症状が消えたことだけで安心したりしないことが大切です。出血が一度で止まっても、背景にある病気が解決したとは限りません。特に、繰り返す血痰、長引くせき、発熱、胸痛、体重減少などがある場合は、診察を受けてください。

【肺から出血】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:肺から出血したら、必ず肺がんですか?

A1:必ずしも肺がんではありません。肺炎、肺結核、気管支拡張症、非結核性抗酸菌症など、さまざまな病気で血痰や喀血が起こります。ただし、症状だけで肺がんを否定することもできないため、血痰が出た場合は早めに医療機関で原因を調べてください。

Q2:痰に血が少し混じっただけでも病院へ行くべきですか?

A2:はい。少量でも、血痰は受診して原因を確認したい症状です。呼吸が普段どおりで出血が止まっている場合は、呼吸器内科などへ早めに相談してください。出血が増える、止まらない、息苦しい、意識がぼんやりするといった症状があれば、救急車を呼んでください。

Q3:肺からの出血は自然に止まることがありますか?

A3:少量の出血が自然に止まることはあります。しかし、出血が止まったからといって、原因となる病気まで治ったとは限りません。再出血や重い病気の見逃しを防ぐため、血痰が出た場合は医療機関で相談することが大切です。

まとめ:血痰・喀血は量だけで判断せず、早めの受診を

肺から出血したように見える血痰や喀血は、肺がん、肺炎、肺結核、気管支拡張症など、多様な病気によって起こります。吐血や鼻・口・のどからの出血が似た症状を示すこともあるため、血液の色や見た目だけで出血源を判断することはできません。

大量出血や息苦しさ、意識の異常などがあれば、原因の特定よりも救急対応を優先してください。少量の血痰であっても、放置せず、呼吸器内科などで原因を確認が必要です。

診断には、問診、血液検査、喀痰検査、胸部X線、CTなどが用いられ、必要に応じて気管支鏡検査や血管内治療が検討されます。治療は出血を止めるだけでなく、原因となる病気への対応が欠かせない。血痰を見つけたら自己判断で様子を見続けず、症状の程度に応じて適切な医療につなげてください。

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トレンドリサーチャー 栗原 瑞穂
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